予防医学のお話 No.35
自然治癒力を高める

掲載日:2018年1月10日

自然治癒力を高める

現代社会には健康を害する要因があふれています。様々なストレッサーや環境汚染物質の氾濫などには、医学の進歩を超える勢いを感じることもあります。しかし健康を害する要因が社会や環境にあったとしても、病気やけがをした時に苦しい思いをするのは他ならぬ自分自身です。自分自身の健康は他人任せにはできません。やはり自らの手で守らなければならないのです。

人間や動物には、病気やけがを自ら治す力が生まれながらに備わっています。「自然治癒力」とも呼ばれるこの力こそが健康の原点です。ヨーロッパには「医者が包帯を巻き、神が治す」ということわざがありますが、病気やけがは医者が治すものではなく、自分自身の自然治癒力が治すのです。

この自然治癒力には、「防御力」「免疫力」「再生力」「精神力」の4つの側面があります。

[防御力]
私たちの体(細胞、組織、器官等)に備わっている、異物を体内に侵入させないようにする力です。例えば皮膚や粘膜は、体の内部と外部を明確に区分して有害物質が体内に侵入しないように体を守っています。また唾液には、口から侵入してくる細菌などを防ぐ役割があります。

防御力を高めるには、紫外線対策をして肌をダメージから守ることや、水分をこまめに補給し食べものはよく噛んで唾液の分泌を促すことなどが大切です。

[免疫力]
防御を乗り越えて体内に侵入した有害物による病気の発症や重症化を抑え込む力です。免疫細胞は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原菌を攻撃・排除し、体を正常に保とうとします。また免疫細胞が活動を始めると、脳は体温を上げて病原菌の増殖を抑え、免疫細胞の働きを活性化します。

免疫力を高めるには、免疫細胞や抗体の多くが集中する腸内環境を整えること、熱産生器官である筋肉を鍛えることなども重要です。

[再生力]
細胞の集合体としての完成度を維持し、再生しようとする力です。例えばすり傷や切り傷は、体を有害物質の侵入から守っている皮膚が損傷している状態です。体内に侵入しようとする病原菌にしてみれば、格好の攻撃場所となります。再生力は免疫力と連携し、病原菌と戦いながら、新たな皮膚細胞の再生を行ないます。

再生力を高めるには、細胞を作る原料となる栄養素をバランスよく摂ること、栄養素を吸収できるよう腸内環境を整えることなどが必要です。

[精神力]
昔から「病は気から」と言いますが、心のあり方と健康は関連しています。精神力は、けがや病気などの外的な治癒力にも大きな影響を与えています。医療技術がいくら優れていても、病気と前向きに闘っていこうとする気持ちが弱まると、治るものも治らないということは本当にあるのです。自然治癒力を活かすには、精神面を整えることも大切です。

精神力を整えるには、時間に余裕を持つことで落ち着いた気持ちをキープすること、入浴や芳香浴などリラックスできる状態をつくることなどが役立ちます。

自然治癒力を高めるためには、普段の生活において食事や運動、休息や睡眠、ストレス解消など、生活習慣に気を付けることが大切です。また笑うことは、自律神経や脳内神経伝達物質に影響を与え、脳の活性化と免疫力の強化という一石二鳥の効果をもたらすと言われます。私たちは、笑うことの大切さを改めて認識する必要がありそうです。

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