プロバイオティクス

プロバイオティクスってなに?

プロバイオティクス

私たちの腸には、およそ500~1,000種類、600~1,000兆個にも及ぶ多種多様な腸内細菌が存在すると言われています。それらの細菌は、それぞれの種類ごとにまとまって「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれる集まりを形成しています。

プロバイオティクスの定義については諸説ありますが、「生きて腸まで届き、腸内環境を整え、健康に有益な働きをする微生物」という英国の微生物学者Fullerの定義が一般的に受け入れられています。
つまり、生きたまま腸に届き体に良い働きをする微生物、また、その微生物を含む食品(ヨーグルトや乳酸菌飲料など)を指します。

腸の働き

腸の働き

人間の腸は小腸と大腸に分かれており、小腸が6~7メートル、大腸が1.5メートル、2つの腸を合計すると身長の4~5倍もの長さになります。小腸は十二指腸、空腸、回腸の3つに、大腸は上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、盲腸の6つに分けられ、それぞれ食べた物から栄養素を分解・吸収して、排泄物を形成する役割を担っています。

小腸の役割は、胃で消化された食べ物を腸液、胆汁、膵液の消化酵素で分解し、水分とともに吸収することです。その時間はおよそ3~4時間で、消化吸収のほとんどは小腸で行われます。また、小腸には外部から取り込んだ有害なものや異物に対処する免疫機能が備わっており、小腸の働きが弱まると風邪をひきやすくなったり、疲れが取れにくくなったりと、私たちの健康にも影響が及ぶと考えられています。

一方、大腸は水分、カリウム、ナトリウムなどの吸収を行ったり、過剰に摂取したマグネシウム、カルシウム、鉄などを排出したりします。しかし、最も重要な働きは「食べ物の残りかすから便を形成する」ことです。人間は1日に1.5~2リットルの水分を摂ると言われていますが、水分の95%は小腸で吸収され、食べ物が大腸にたどり着くころには栄養分の吸収はほぼ終わっています。大腸は食べ物の残りかすから水分を吸収し、便を形成しますが、大腸で水分が吸収されないと下痢になってしまい、便が排泄されないままだと、水分が吸収され続け、便秘になってしまいます。
私たちの腸は消化、吸収、排泄など、生命に関わる役割を担う大切な器官なのです。

腸内細菌の種類

私たちの腸の中にはおよそ600~1,000兆個もの腸内細菌が存在し、重さでおよそ1.5キログラム、容積でおよそ1.5リットルにもなります。腸内細菌はその働きから「善玉菌(有用菌)」、「悪玉菌(有害菌)」、そのどちらにも属さない「日和見(ひよりみ)菌」の大きく3つに分けられます。
善玉菌、悪玉菌という呼称はその菌の働きから見た呼び方で、文字通り、私たちの健康に良い影響を与えるのが善玉菌、悪い影響を与えるのが悪玉菌です。日和見菌はその機能が良くわかっていない腸内細菌のことです。

腸内細菌の種類

発酵と腐敗

歴史

善玉菌の「良い働き」、悪玉菌の「悪い働き」とはどういうことでしょうか?
小腸から送り込まれた食べ物の残りかすは腸内細菌によって分解されますが、この分解作用には「発酵」と「腐敗」があります。「発酵」と「腐敗」はどちらも同じ仕組みで行われますが、その菌が大腸に有用な影響を及ぼせば発酵作用を持つ「善玉菌」、逆に有害な影響を及ぼせば腐敗作用を持つ「悪玉菌」となります。
食品においても発酵と腐敗はどちらも同じ仕組みで行われ、ヨーグルトや納豆などの発酵食品は私たちの健康に良いとされていますが、腐敗した食品は人体には有害です。同じ仕組みでも、その生み出す作用が「有用」か「有害」かで、善玉菌か悪玉菌かに分類されます。

善玉菌の働き

善玉菌は腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスを整え、腸内環境を改善する役割があります。腸内環境が改善されると便秘や下痢の予防に、免疫力が高まると風邪やインフルエンザの予防につながります。
また、善玉菌が活性化すると、悪玉菌による有害物質の産生が抑えられ、花粉症などのアレルギー疾患の抑制、血中コレステロールの低下、血圧の降下、内臓脂肪の減少など、その他にも多くの効果があると考えられています。

ヨーグルトのCMなどでよく耳にする「ビフィズス菌」や「乳酸菌」は代表的な善玉菌ですが、その特徴は分類学上、菌の属・種・株によって異なります。代表的なビフィズス菌と乳酸菌の特徴は以下の通りです。

乳酸菌

  • サーモフィルス菌
  • ヨーグルトを作るときの主要な乳酸菌のひとつ。ヨーグルトの滑らかな粘り気を生み出す。乳酸のほか、ブルガリア菌の増殖に欠かせないギ酸も産生する。
  • ブルガリア菌
  • アミノ酸やアミノ酸化合物(ペプチド)を産生する。アミノ酸、ペプチドはサーモフィルス菌の増殖を促す。
  • ラムノーザス菌
  • 胃酸や胆汁酸に強い耐性を持つため、大腸まで届いて腸内バランスを改善する。
  • カゼイ菌
  • 主に小腸で増殖。小腸の運動や栄養分の消化・吸収を助ける働きをする。
  • ガセリ菌
  • ラクトバチルス属の代表的な菌種。胃がんなどの原因になるピロリ菌を抑制する乳酸を産生していると見られている。
  • ヘルベティカス菌
  • 血圧を調整する物質を産生している。動物実験では、疲労回復・免疫力を活性化する効果も認められている。
  • デルブレッキー菌
  • 整腸効果、コレステロールを下げる効果がある。
  • クレモリス菌
  • 免疫調整力が高い。腸内環境を改善する。

ビフィズス菌

  • ビフィダム菌
  • 世界で最初に発見されたビフィズス菌。コレステロールを吸収する効果がある。
  • ロングム菌
  • 大腸まで届いて善玉菌を増殖させ、悪玉菌を減らし、腸内バランスを改善。免疫調整機能を持つ株もある。
  • アドレスセンティス菌
  • 青年・壮年の健康な腸内で活動。様々なビタミンを合成して、免疫力を高める働きをするとされている。
  • ラクティス菌
  • 乳児の腸内から分離された菌。酵素や酸に対して強く、整腸効果もある。
  • ブレーベ菌
  • 乳児の腸内にいるビフィズス菌。腸管出血性大腸菌O-157の増殖を抑制、カンピロバクターなど食中毒菌を除菌。がんのリスクを減らし、免疫を調整する機能を持つ株もある。

悪玉菌の働き

悪玉菌

悪玉菌の多くは、腸内の脂肪、糖類、アミノ酸などの栄養分を腐敗させる細菌です。近年、日本人の食生活が欧米型に変化してきたため、腸内環境が悪玉菌の好む環境になりがちだと言われています。

悪玉菌

悪玉菌が活性化すると、善玉菌の働き(腸内環境に有益)が抑えられるだけでなく、腐敗が進み、有害物質が産生されますので、私たちの健康にも影響を及ぼしてしまいます。
健康な腸内環境を保つためには、善玉菌が好む食事を心掛けるだけでなく、悪玉菌が好む動物性脂肪や糖類などの摂りすぎにも注意することが大切です。
実は悪玉菌が作り出す物質は腐敗しているため、腐敗臭がします。この腐敗臭が便やおならの臭いの原因にもなっていますので、便やおならが臭くなったら要注意かもしれません。

腸内細菌と病気の関係

腸内細菌と病気の関係

大腸は、私たちの体の中で最も病気の種類が多い"病気の発信源"とも言われています。例えば、ある種の腸内細菌は腐敗産物、細菌毒素、発がん物質などの有害物質を産出します。これらの有害物質は腸管に障害を与えて、大腸がんなどの大腸内の様々な病気の原因になると考えられています。
また、一部の有害物質は吸収され、血液を介して全身を回り、各種臓器に障害を与え、発がん、老化、コレステロール沈着による動脈硬化、肝臓障害、痴呆、アレルギー症状など、多くの病気の原因となる可能性が高いと考えられています。500~1,000種類存在すると言われる腸内細菌と病気の関係が近年の研究で明らかにされつつあります。

健康な腸内環境を保つために

腸内環境はひとりひとり違い、食習慣や年齢によって変化します。腸は消化・吸収、排泄に関わるだけでなく、免疫機能や神経細胞が集中する、大変重要な器官です。しかし、近年の日本人は食生活の乱れに加え、ストレス、睡眠不足、加齢など、日々直面する様々な要因で腸内環境が悪玉菌の好む環境になりがちだと言われています。
健康な腸内環境を作り出すためには、バランスのとれた食生活、十分な睡眠、適度な運動など、生活習慣の改善に心掛けるだけでなく、プロバイオティクスや難消化性食物繊維のアロエ多糖体などを積極的に摂取することが大切だと言われています。健康でバランスのとれた腸内環境の維持は毎日を健康に過ごすため、また、生活習慣病を予防するための秘訣とも言えます。

健康な腸内環境を保つポイント

腸内細菌と病気の関係
  • ・バランスの良い食生活に心掛ける
  • ・規則正しく、十分な睡眠をとるように心掛ける
  • ・過度なストレスを避けるように心掛ける
  • ・適度に運動するように心掛ける
  • ・食物繊維やプロバイオティクスの摂取を心掛ける

参考図書

  • 「整腸力 医者・薬いらずの体をつくる腸内改革」辨野義己 かんき出版 2013年5月22日

参考文献

  • 「腸内細菌の全体像をつかみ、予防医学に役立てる」 辨野義巳、理研ニュース、2004.

プロバイオティクスの健康情報

論文紹介

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